
「相続・おひとり様セミナー・相談会」を、7/8すこやかセンター伊野で開催し、4名の方に参加いただきました。
参加いただいた皆様におかれましては、わざわざ会場まで足を運んで参加いただき、ありがとうございました。
セミナーでは、「遺言や遺産分割協議の際に不動産の価値をどのように算定するのでしょうか?」というご質問をいただき、以下のよう回答させていただきました。
「まず、相続に当たっては、遺言もなく遺産分割協議もない場合、被相続人の財産は法定相続割合によって法定相続人に承継されることとなります。
そしてこの法定相続割合による財産の承継の算定基礎となる財産価値は、相続開始時すなわち被相続人の死亡時を基準に把握されることとなり、預金であれば被相続人の死亡日の預金残高、有価証券であれば被相続人の死亡日における価額ということになります。もちろんご質問いただいた不動産についても被相続人の死亡日における資産価値を把握することとなりますが、法定相続の場合には、不動産はその資産価値を論ずることなく法定相続分がそのまま共有持ち分となることから、遺言や遺産分割の場面でなければ相続財産である不動産の価額は相続登記の登録免許税算定基礎、相続税の算定基礎としての意味しか有さないこととなります。
しかし、ご質問のとおり、遺言や遺産分割の場面において相続財産である不動産の価額をどのように把握するかという点については、数々の検討が必要です。
まず、遺言においても遺産分割協議においても、適切な財産の承継が行われるためには、相続開始時の相続財産の価額を推測すること又は確定若しくは把握することがそのスタートとなります。
ですので、不動産の価額に把握については時価を把握することが必要となり、世間一般に実勢価格の約7割といわれる固定資産税評価額や約8割といわれる路線価をその基礎とすることは適切でないといえますが、公示地価や固定資産税評価額及び路線価の割り戻し数値を用いれば何の問題もないのかというとそうでもありません。より本来の時価を追及しようとする場合、不動産業者に売買実例を教えてもらってこの価額を補正したうえで求める方法や複数の不動産業者から見積もりを徴収し平均値を時価とする方法、不動産鑑定士に鑑定依頼する方法など、突き詰めるとキリがないものともいえます。
さらには、将来的な運用益をどう価額の算定に盛り込むかなど、これは不動産鑑定の手法の一つでもありますが、その他、農地などは農業を営む相続人が相続する場合と農業を営まない相続人が相続する場合にはその評価を違うものとするのかなどの検討事項があろうかと思います。
ですので、まず、大きな異論がない場合は、不動産価額の算定基礎には公的指標から導き出した時価を算定の基礎としたうえ、ここから、結果どのように遺言で分配するか、又は遺産分割協議によってどのように分割するかについては、不動産の種別や立地、社会情勢、相続人の状況など総合的に勘案して、遺言者又は相続人が適切と考える方法すなわち円満な相続を実現する方法を導き出す必要があります。もちろん相続人の総意で不動産鑑定まで行うといった選択はあり得ることです。」
また、セミナー後の個別相談では、3名の方から相続関係のご相談をいただき、今後フォローアップもさせていただくとともに、弊所では、おひとり暮らしの高齢の方のこれからを全面的に支援可能なサポート「さぽらいふ」、相続手続をまるごと代行する「相続手続まるごとサポート」を提供しており、こちらのサービスの利用も検討いただければと思います。
また、今回の相談会に限らずですが、相続した不動産の活用が難しく、管理だけ行っている。固定資産税と管理費用だけがかかり、何とかならないだろうか。というお声を多数お伺いします。
相続した土地を国が引き取る「相続土地国庫帰属制度」や市町村の「空き家除却費用補助金」、「空き家バンク」登録など、公的制度の利用に関するサポートも行っていますので、ぜひお気軽に当事務所の無料相談をご利用いただければと思います。
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この記事の執筆者

弊所は、高知県高知市中心部にて相続、遺言、後見といった家族法関係の専門事務所として、主に個人のお客様からのご相談に対応させていただいております。
高齢化の進む日本社会において、特にその進行が顕著な本県にあっては、弊所の提供サービスは社会インフラとしての価値をも有するものとの自負のもと、すべての人が避けて通ることのできない死の前後において、人の尊厳を守り、そのバトンを後世に繋いでいただくための支援に力を尽くしていきたいと考えております。
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行政書士ライフパートナーズ法務事務所
代表行政書士 宅地建物取引士 森本 拓也
TAKUYA MORIMOTO
宅地建物取引士登録番号(高知)第005010号
Profile
1993年3月
高知県立追手前高校 卒業
1993年4月
立命館大学産業社会学部 入学
イギリス留学を経て、行政書士資格取得後公務員として約20年勤務した後、行政書士ライフパートナーズ法務事務所開設。