少子化、高齢化によって生産年齢人口比率が減少するなか、デジタル技術の進展も相まって、日本社会は大きな変革期を迎えています。

社会の変革期には、特に経済活動の分野において、社会における諸手続きの方法や諸制度の枠組みの変化はもちろん、経済合理性を支える既存の価値基準さえも変容します。

労働市場における買い手市場から売り手市場への転換、インバウンドの増加、外国人労働者の受入れ緩和など、社会状況の変化は関連する様々な行為の行動原理を転換させます。

小売店のレジの無人化などがすすむ一方、企業は旺盛な採用意欲を示すなど、合理化や機械化が進めども社会全体における人手不足の解消には至っていない状況が、少子高齢化による社会変化の大きさを物語っています。

変化の大きい時期、個々人がこれまでの価値判断基準を社会の変化に適合させていく作業は、それに依拠した期間が長ければ長いほど難しいものとなるでしょう。

また、適合させていく前提として、社会の変化の状況を逐一把握する必要があります。

このような前提からいうと、社会変化の大きいこれからの時期、高齢期にさしかかる方々には、自身のこれからの人生を形作るためどのような社会サービスを選択すべきか等の意思決定の場面におけるサポートが社会的に重要となってきます。

特に、頼れる親族等が近くにいない方々に対する第三者によるサポートは、欠くことのできない社会インフラとしての価値をも有するものと弊所は考えています。

そしてそのサポートは、単なるサービスの物的供給ではなく、これからの人生を形作るための自身による「選択」に対して行われる限りにおいて、ひとの自己実現を支える価値を有するものと考えています。

弊所の「ライフパートナー」という名称には、報酬の対価としての単なるサービスの供給や恩恵的なサービス提供ではなく、敬意をもってサポートを提供することによって、私たちを人生のパートナーとして感じていただければという一方的な願望を込めています。

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この記事の執筆者

弊所は、高知県高知市中心部にて相続、遺言、後見といった家族法関係の専門事務所として、主に個人のお客様からのご相談に対応させていただいております。

高齢化の進む日本社会において、特にその進行が顕著な本県にあっては、弊所の提供サービスは社会インフラとしての価値をも有するものとの自負のもと、すべての人が避けて通ることのできない死の前後において、人の尊厳を守り、そのバトンを後世に繋いでいただくための支援に力を尽くしていきたいと考えております。

弊所の「ライフパートナー」という名称には、報酬の対価としての単なるサービスの供給や恩恵的なサービス提供ではなく、敬意をもってサポートを提供することによって、私たちを人生のパートナーとして感じていただければという一方的な願望を込めております。

行政書士ライフパートナーズ法務事務所
代表行政書士 宅地建物取引士 森本 拓也

Profile

 1993年3月

  高知県立追手前高校   卒業

 1993年4月

  立命館大学産業社会学部 入学

イギリス留学を経て、行政書士資格取得後公務員として約20年勤務した後、行政書士ライフパートナーズ法務事務所開設。

以下、弊所の思いの前提です。

すすむ人口減少と高齢化

【人口減少について】

わが国における合計特殊出生率は、人口維持に必要な2.08人を下回る状況が1975年以降続いており、現在1.3前後で推移しています。

これに伴い、2008年の1億2,808万人をピークに2011年以降人口減少が続いており、2024年12月現在1億2,374万人となっています。

また、私たちの暮らす高知県も同様、1985年の84万人をピークに年々減少、2024年12月現在654,558人となっています。

ピーク時2024.12月現在
全 国1億2808万人1億2374万人
高知県84万人65万人

  

【高齢化について】

合計特殊出生率が低下するなか、出産年齢期の女性人口の推移はあるものの、最大のボリュームゾーンである団塊の世代が高齢者となって以降、わが国の高齢化率は高位での推移が続いています。

2022年10月現在、全国の高齢化率(65歳以上)は29.0%であるのに対し、高知県は、これを大幅に上回る36.1%で、秋田県に次いで全国第2位の高齢化率となっています。また、高知県の75歳以上の割合は19.9%で、こちらも上昇が続いています。

【高齢単身世帯の増加】

親族家族に占める核家族(夫婦のみ・親と子)世帯の割合は、1920年に59.1%でしたが、その後一貫して上昇を続け、2020年には86.7%となっています。また、高知県においては、人口の社会増減のうち20~24歳の人口社会減が最も大きく、若い世代の流出の傾向が継続しています。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、総世帯数に占める65歳以上の一人暮らしの割合が、2050年には32の道府県で20%を超え、高知県は27%に上昇すると推計されています。

人口動態が社会に及ぼす影響

以上のように、総人口の減少スピードを上回って生産年齢人口の減少する人口動態においては、既存の経済活動の維持を可能とする変革の取組みが求められます。

外国人労働者の受入れ、デジタル技術による業務効率化とそれに対応する企業組織等の改革(「DX」デジタル・トランスフォーメーション)、高齢者雇用の促進、社会インフラともいえる必須分野への労働力の集中などが社会全体の取組みとして必要であり、また、高齢者の生活を維持するための必須分野である医療や介護においても、同様の取組みが進められています。

また、医療や介護の分野においては、サービスの供給側の変革とあわせて、病気の予防や介護予防といった需要の抑制の取組みも推進されており、特定検診制度やいきいき体操の推進、適切な栄養摂取の啓発などがおこなわれています。

さらに、高齢者の生活の質(クオリティオブライフ)の著しい低下を防止するための対策として、厚生労働省により「地域包括ケアシステム」という仕組みが提唱され、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的とし、可能な限り住み慣れた地域で生活し、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供できる体制の構築が目指されています。なかでも、認知症高齢者や単身高齢世帯の増加に伴い、医療や介護サービス以外にも、在宅生活を継続するための日常的な生活支援(配食・見守り等)を必要とする高齢者の増加が見込まれ、行政のみならず、民間企業を含めた多様な事業主体による支援体制の構築が求められるとされています。

なお、2025年には高齢者の2割が認知症になるとの推計(平成29年度高齢社会白書)もされるなか、特に、高知県内においては、子世代がいない、または、子世代が都市部に住んでいるという状況にある高齢者世帯の意思決定への支援の確保が重要な地域課題といえるでしょう。

意思決定への支援の必要性】

どこに住み、どのように人と交わり、どのような時間を過ごして生活するか、自身の思い描く人生を送ることは、ひとの尊厳に関わる何物にもかえがたい価値を有するものです。これを支えるには、もちろん供給可能なサービスが存在し、サービスの購入が可能な収入・貯蓄があることが前提となりますが、最も重要なのは、それらを選択する自身の意思決定が最善に為されることです。平たくは、良い選択ができることです。

しかし、ひとは往々にして、自身の本当に望む人生を送るためにその時点では本来は斟酌すべきでない事情を斟酌し意思決定をしてしまうなどの状況に陥ることがあります。いわゆる後悔先に立たずの状況であるが、誰にも相談できず一人で抱え込んでしまうとこのようなことが起こりやすいものです。

そして、高齢期に差し掛かり、一人暮らしであった場合や理解・判断能力が徐々に低下するといわれる認知症となった場合には、物事を選択(意思決定)するにあたり、適切な見識をもった相談相手や物事の判断のための要素抽出を補完してくれる支援者がいることによって、自身の思い描く人生へのより良い選択が可能となるはずです。